肺非結核性抗酸菌症

近年患者数が増えています

結核と同じ分類の菌が原因で起こる感染症ですが(結核の友達と表現することもあります) 以下の特徴があります。

  • 結核のように人から人へは感染しない。
  • 治療が一般的に効きづらく、治療内容も結核のように確立されていない

中高年の女性に多く、日本では年間約8000人が発症をしており、CT検査など診断の精度も近年上昇してきたことから、呼吸器内科外来をやっていても10年前よりは明らかにこの病気の患者様は増えてきております。
症状の進行により治療に難渋するケースも実際に増えてきております。

肺非結核性抗酸菌症の
症状

肺非結核性抗酸菌症の症状初期ではほとんどが無症状ですが、病状の進行とともに咳や喀痰が増えるといった症状がみられます。
また初期でも血痰や喀血が起こるかたもいらっしゃいます。
さらに病状がすすむとるい痩(やせ)がすすむケースもあります。

肺非結核性抗酸菌症の
原因

結核と異なり環境中でも生息できる菌です。なぜ中高年女性に発症することが多いのか、また発症する人としない人の違いがなぜなのか、原因は今のところまだわかっておりません。 

肺非結核性抗酸菌症の
診断

結核と同様に痰の培養検査で主に診断をします。
CT画像検査もとても有用です。胸部レントゲン検査で肺が「なんか白いなあ」と思うかたで、CTを撮ることでさらに診断に近づくケースも多いです。
結核とやや似ている画像所見になることから、結核を否定することも重要になります。
痰の検査で結果が得られない場合、総合病院に紹介し気管支鏡(気管支のカメラ検査)を依頼することもあります。
30年ほど前はこの病気があまり解明されておらず、診断がつかず放置されていたと考えられていますが、近年ではかなり認知されるようになってきており診断数も増加しております。

肺非結核性抗酸菌症の
治療

肺非結核性抗酸菌症の治療基本治療は3種類の抗生剤(クラリスロマイシン、エタンブトール、リファンピシン)を合わせて内服します。
しかし全例が治療対象となるわけではなく、軽症の場合はまずは画像検査にて経過観察をすることが推奨されています。
逆に進行が速い場合、もしくは肺の中に空洞を形成し菌の勢いが強いと判断されるケースは早期より治療を行います。
治療期間は1年以上と長く、そのため治療するかどうかの決定は慎重に行います。
また早期の症例でも喀血するリスクがあり事前にリスクは説明をしております。血痰が出現した際などは早期に受診していただくようお願いいたします。止血剤の内服や点滴で早めに対応をしておくことをお勧めします。
当院ではCT検査を有しており上記の画像検査でのフォローも行えます。軽症のかたでも年1回はCT検査で病状のフォローをおすすめいたします。 
この病気は治るというよりは一般的に長くつきあうことになることがほとんどです。
治療が難渋する場合、もしくは専門病院のセカンドオピニオンを受けてみたいなどご希望があれば適切な医療機関もご紹介いたします。

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