呼吸器内科とは
呼吸器内科とは肺・気管支に関する病気の専門家です。
人間は生まれてから休む事なく呼吸を繰り返し1日に約3万回ほどの呼吸をしております。呼吸は意識しなくても続けているものですが、日々の生活の中でこの呼吸にトラブルがあると生活の質は各段に低下をします。そこに改善するために検査、治療を行っていく診療科となります。
耳鼻科との違い
患者様からよく聞かれるのですが耳鼻科との違いは
耳鼻科:のどの奥から声帯までを内視鏡を用いて直接見て診断をできる
→ のどの奥にできものがある、声がかすれてしまい声帯の検査をしてほしいなどは耳鼻科での対応になります。
呼吸器内科:声帯より奥の気管から気管支、肺に関して聴診や画像評価などを駆使して診断可能
→ 呼吸が苦しいので喘息や肺気腫が心配。痰が多く肺炎が心配などは呼吸器内科で対応をいたします。
身体のいろいろな病態を扱うのが得意な診療科です
大病院で呼吸器内科医として働いていると
- 感染症(肺炎やその他の肺の感染症)
- アレルギー(気管支ぜんそく)
- がん(肺がん)
- 緊急の処置が必要な病気(自然気胸)
など呼吸器内科医は身体で起こる様々なタイプの病気と常に向き合い続けています。
内科医そのものが内科一般の知識を身につけておりますが、その中でも呼吸器内科医はさらに診療のバランスが安定している先生が多く、使い慣れている薬剤も多いのが特徴です。
よくある呼吸器の症状
呼吸器内科で診療する症状で代表的なものとして
- 咳がとまらない
- 痰が絡む
- 血痰が出る
- 息苦しい
- 胸が痛い、背中が痛い
- ぜーぜーする、喘鳴(ぜんめい)
- 嗄声(声がれ)
- いびき、昼間の眠気
これらはすべて日常生活において生活の質を低下させるものです。
また場合によっては、早めに検査や治療をしなければいけない病気が隠れている可能性もあります。
これらの症状を感じたら、早めの受診をおすすめします。
当院では総合病院の呼吸器内科と同レベルの検査機器を揃える事が出来ましたので、即日に検査を受けていただけます。
咳がとまらない
咳を呈する期間により大きく2つに分かれます(急性がいそう、慢性がいそう)があります。
- 急性がいそうは3週間以内の咳
- 慢性がいそうは8週間以上の咳
3~8週間以内の咳を遷延性がいそうと呼ぶ事もありますが、診療スタンスとしては慢性がいそうに準じます。
急性咳嗽の原因
感冒、急性気管支炎、肺炎、気管支喘息、心不全、肺気腫などがあります。感冒のように自然に軽快するものから、放置をすると命にかかわるものまであります。
咳のほかに息苦しさが強かったり、肩で息をしているといった事がみられれば状態が悪い可能性があり、即座に病院への受診が必要です。
慢性の原因
- アレルギー性の咳(咳喘息、アトピー咳嗽)が最も多い
- 副鼻腔炎・アレルギー鼻炎による後鼻漏(鼻水の垂れ込み)による咳
- 逆流性食道炎による咳
上記①~③の原因による咳が多く、アレルギー性の咳が最多になります。
その他、結核、薬剤性(血圧の薬の副作用)、肺癌、COPD、心因性(ストレスなどによる)の咳などがあります。
診断
なんと言っても長引く咳には、胸部レントゲンで確認!です。患者さんの中には怖い病気ではないかと不安になって来る方も多く、上記の結核や肺癌などの見逃してはいけない病気を否定してあげる事は重要です。
その他の鑑別には問診が重要です。毎年咳が続く時期はあるか?咳の出る時間帯はどうか?家族に喘息の人はいるか?鼻水は多いか?胸やけはないか?などもとても参考になります。
当院では最も頻度の多い咳喘息の診断として、呼気一酸化窒素(NO)検査、オシロメトリー検査が施行可能です。どちらもとても簡単に身体へのご負担なく行えます。オシロメトリー検査は筒を加えて安静呼吸をしていれば検査可能なため4歳以上で評価が行えます。
副鼻腔炎の疑いや胸部レントゲンで異常を見つけた際は、当院では即日胸部CT検査を施行可能です。
また逆流性食道炎の疑いがあれば、近隣の消化器内科を御紹介し、胃カメラを施行していただきます。
治療
アレルギー性咳嗽、副鼻腔炎、逆流性食道炎は適切に治療されれば症状は早めに改善する事が期待されます。
咳は生活の質を各段に低下させます。是非、長引く咳を放置せず診断・治療のご相談をしてみてください。
痰が絡む
普段より痰が多い、以前に比べて痰が増えたと心配になり来院される患者さんも多くいらっしゃいます。
痰が増える原因としては感染症、気管支ぜんそく、肺気腫(COPD)などが考えられますが、ここでも重大な病気を見逃さない姿勢が必要です。時に血痰は量が増えると深刻になるケースもありますので慎重な対応が必要です。
原因
喫煙中の方は、慢性的に気道に炎症を起こしており、痰が普段から絡んでしまいます。
感冒後咳嗽(風邪の後の咳と痰で1~2週間程度で軽快する)の患者さんがとても多いですが、喘息や肺気腫(COPD)による気道の炎症に伴う結果としての痰を自覚されるケースもあります。
その他、肺炎や肺結核、肺がんなど深刻な病気の可能性もあります。
診断・治療
多くは風邪の後の咳である事が多く、対症療法のみとするケースが多いですが、状況をみながら胸部レントゲン検査、胸部CT検査などを行い深刻な病気の否定が必要になる場合もあります。
ともに当院では即日検査が可能です。
痰に血が混ざる、発熱している、呼吸が苦しい、胸が痛いなどの症状がある場合は緊急性がある可能性がありますので早めに受診をしてください。
血痰が出る
痰に血が混ざるとの事で来院される患者様もいます。痰の中に血が少量混じるだけの場合と喀血といって痰を出したつもりが血の塊が気管から出てくるという緊急性のある場合もあります。
よく吐血という言葉も耳にすると思います。吐血は食道の病気や胃潰瘍や胃がんといった胃からの出血で、多い時は1リットル以上の吐血量が出る事がありますが、誤嚥して気管に血が垂れ込まなければ苦しくなる事はありません。一方で喀血は気管支の中での出血であり、たとえ10mlほどの出血量でも気管を詰まらせて窒息してしまう事もあります。急な喀血を認めたらすぐに救急受診を考慮してください。
原因
風邪をひいた際に咳の刺激などで口の中の毛細血管が切れ、出した痰の中に血が少量混じるという患者様は多いです。それであれば問題ないのですが、ここでも重大な病気を見逃さない姿勢が必要になります。
昔は肺結核の治療が確立されておらず最終的に喀血死する時代がありました。結核は現代においても経験する病気であり、血痰をみたら結核は念頭におく必要はあります。
その他肺がん、肺非結核性抗酸菌症、気管支拡張症、肺炎、肺真菌症(アスペルギルス)、肺塞栓症、心不全などが鑑別にあがります。
診断・治療
怖い病気を見逃さない為にまずは胸部レントゲン検査を行います。異常がみられたら即座にCT検査を追加します。多くはこの検査で判断が出来ますが、出血が続きCT検査でも異常が見つからない場合は、総合病院の呼吸器内科へご紹介し気管支の内視鏡検査を受けていただく場合もあります(気管支内視鏡検査は当院では施行できません)診断により治療を決定していきますが、まずは血を止めなくてはいけませんので止血剤の内服、点滴を並行して行います。出血量が多い場合は、総合病院へご紹介し入院管理をしていただきます。
息苦しい
息苦しいという症状は肺の病気、心臓の病気、貧血、精神的なもの、体力的なものなど原因は多岐に渡ります。
近年コロナウィルス感染症で血中酸素飽和度の測定がメディアでも多く取り上げられておりますが、その値が低下している場合は何か重大な原因があることも示唆します。
原因
息苦しさの原因として肺の病気であれば、肺炎、肺気腫(COPD)、気管支ぜんそく、気胸、間質性肺炎・・・などは鑑別となります。心臓の病気であれば心不全、心臓の弁の病気、不整脈などです。
貧血により息苦しさを感じたり、ストレスや過換気など精神的なもの、また体力の低下や更年期障害の症状として出てくる場合もあります。
診断
緊急性が高い病気(気管支ぜんそく発作、肺血栓塞栓症、自然気胸、肺炎など)をまずは除外し、その次に頻度の高い病気を検討していくというスタンスで診療を行います。
問診はさることながら血中酸素飽和度を測定し、確認しながら胸の聴診、胸部レントゲン検査と進めます。
当院では、肺の検査に関してはCT検査や様々な呼吸機能検査が即日施行可能です。
また採血での貧血チェックも即日可能です。精神的なものが疑われれば専門家へご紹介いたします。心臓の病気が疑われる場合は信頼する循環器内科の先生をご紹介いたします。気になった際は放置せず、是非早めの受診をご検討ください。
胸が痛い、背中が痛い
胸が痛い、背中が痛いと来院される患者様は怖い病気ではないかと心配されて来られる方が多いです。
原因
ここでもまずは命に関わる病気を除外する事が大事です。
心筋梗塞、狭心症、大動脈解離(大きな血管が裂ける)、気胸(肺のパンク)、肺炎・胸膜炎(肺の周りの膜にまで炎症が波及)など胸にはとても大事な臓器があるため胸部の病気は重症になる事もあります。
その他、命に関わらないものとしては筋肉・骨・軟骨の痛み(一番多い原因です)、帯状疱疹(皮膚のウィルスの感染症)、逆流性食道炎、肋間神経痛、ストレス性(心因性)などがあります。
診断・治療
考えられる病気を想定して胸部レントゲン検査、心電図検査、血液検査(心筋梗塞の診断に有用)、胸部CT検査を行います。
CT検査を含め上記の検査は、当院ですぐに検査可能です。
命に関わる病気の検査・除外を行う事で患者様が安心されるケースはとても多いです。
その場合は、症状に合わせて痛み止めなどの治療を行います。
検査の結果、判断に難しい場合は総合病院へご紹介し連携可能です。
いびき、昼間の眠気
最近では社会的にも広く認知されるようになった睡眠時無呼吸症候群の検査・治療を当院でも行えます。
働き盛りの年代の患者様も多く、原則2か月に1回の診療が必要でありますので、オンライン診療によるフォローが便利です。当院では、初診は対面での診察をお願いしておりますが、以後のフォローはオンライン診療が可能です。耳鼻科でも睡眠時無呼吸症候群の治療を行っているところが多いですが、当院は内科医の視点で生活習慣病も含めてフォローさせていただきます。
※オンライン診療は、現在準備中となっております。
代表的な対象疾患
呼吸器内科で対応する病気は以下になります。
- 風邪症候群
- 新型コロナウィルス感染症
- インフルエンザ
- 咽頭炎、扁桃腺炎
- 気管支炎
- 咳ぜんそく
- 気管支ぜんそく
- アトピー咳嗽(がいそう)
- 肺気腫(COPD)
- 肺炎
- 肺非結核性抗酸菌症
- 間質性肺炎
- 肺がん
- 肺結核
- 自然気胸
- 睡眠時無呼吸症候群
- 花粉症、アレルギー性鼻炎
- 急性じんましん、アナフィラキシー