睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群とは?

 ** 当院での無呼吸の検査機器に限りがあり、受診当日に機器をお渡しできず日程調整をすることがございますのでその際はご理解をいただけますと幸いです。あらかじめ電話で連絡をいただければ先に日程調整をすることが可能です。よろしくお願いいたします。 

睡眠時無呼吸症候群とは? 眠っている間に呼吸が停止、または弱くなり必要な換気ができなくなることで身体に酸素が足りなくなり、日中の眠気や各種合併症を起こす病気のことです。
眠っている間に10秒以上呼吸が止まってしまうことが1時間の睡眠において5回以上起きることで診断がつきます。 
睡眠時無呼吸症候群と言えば2012年の群馬・関越自動車道で走行中のツアーバスが運転手の居眠りによって防音壁に衝突し乗客46人が死傷した痛ましい事故の原因として記憶にあるかたも多いと思います。
この事故を期に世間でもこの病気が注目をされるようになりました。
この病気は日中の過度な眠気、からだのだるさ、頭痛といった症状のイメージが強いですが睡眠中の低酸素による心不全や高血圧、動脈硬化による全身の合併症も大きな問題となります。 

睡眠時無呼吸症候群の症状

睡眠中の症状

  • 家族からいびきをよく指摘される
  • 家族から呼吸が止まっているとよく指摘される
  • 睡眠中何度も目が覚めて熟睡できない(不眠)
  • 寝汗がひどい
  • 熟眠感が得られない

日中の症状

  • 寝起きがすっきりしない
  • 起きたとき口が渇いている
  • 日中の眠気
  • 倦怠感(だるさ)がひどい
  • 頭痛がする

睡眠中の症状については自分では自覚できないことも多いため可能であれば御家族にもみていただくといいです。

睡眠時無呼吸症候群セルフチェックリスト
エプワース眠気尺度

エプワース眠気尺度とは自己申告式の眠気の評価法です。
合計が11点以上だと睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いと考えられます。

セルフチェックリスト

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群は原因別に

  1. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群
  2. 中枢性睡眠時無呼吸症候群

の2つに分類されます。
中枢性睡眠時無呼吸症候群は肺や呼吸筋には異常がないものの、脳からの呼吸の指令がうまく出なくなる呼吸中枢の異常によるもので、睡眠時無呼吸症候群の中でも数%にとどまります。
脳の病気や心臓の機能が低下した患者様のうち30%程度に中枢性睡眠時無呼吸症候群が合併すると言われております。
このように大部分が閉塞性睡眠時無呼吸症候群に分類されるということになります。
物理的に空気の通り道である気道を塞ぐ要因があればこの病気を発症する可能性があります。 
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の原因としては

  • 肥満気味、暴飲暴食をしてしまうことがある
  • 小顔、下あごが小さい
  • 歯並びが悪い
  • 舌が大きい
  • 扁桃腺が大きい
  • 首が短い、太い
  • アルコールを常日頃より飲んでいる

がこの病気を起こしやすいと言われています。太っている人、というイメージが強いですが痩せている人でもこれに当てはまる場合は、疑う必要があります。
舌や扁桃腺が大きいために気道を閉塞してしまったり、アルコールの飲みすぎで気道周囲の筋力が弛緩してしまうことも原因となります。

睡眠時無呼吸症候群を治療しない場合は・・・

睡眠時無呼吸症候群は自覚症状に乏しいため、受診につながるケースが少なく無治療のかたが多いと言われております。
結果いろいろと恐ろしい合併症を引き起こすことになります。重症度に応じて死亡率が上昇することもわかっています。

睡眠時無呼吸症候群により
睡眠中の交感神経が過緊張を起こす事で起きる症状

  • 血圧が上昇
    → 高血圧症、全身の動脈硬化
  • 血糖値が上昇する
    → 肥満、糖尿病、動脈硬化(糖尿病の発生率が1.6倍に上昇)
  • 脈が速くなる
    → 不整脈(心房細動の発生率が2倍になるという報告あり)
  • 筋肉が過緊張となる
    → 肩こり、頭痛
  • 腸の動きが悪くなる
    → 便秘症

当院でも積極的な検査・治療をおすすめしております。

当院で可能な検査について

自宅でできる簡易検査(アプノモニター)

自宅でできる簡易検査(アプノモニター)当院ではフクダ電子株式会社の「パルスリープ」を使用します。
画像のように

  1. 鼻にカニューレをつける
  2. 指先に酸素飽和度のモニターをつける

この状態で就寝していただければ簡易検査は終了です。 
この検査により就寝中の酸素飽和度の値や無呼吸の回数、いびき音のチェックが行えます。 
自宅での簡易検査を行った結果、さらに精密な検査が必要な患者様も存在します。
その場合は近隣の医療機関へご紹介し1泊入院での精密検査をおすすめいたします。
その場合は当院より紹介させていただきます。

睡眠時無呼吸症候群の治療について

CPAP治療

重症であればあるほど最も費用対効果が高くなる有効な治療はCPAP治療です。当院ではCPAP治療を扱っております。
睡眠時無呼吸症候群は肺までの空気の通り道である気道が睡眠時に狭窄や閉塞を起こして無呼吸を起こしているため、鼻のみもしくは鼻と口両方を覆うマスクをして圧をかけた空気を送り続けることにより睡眠中の気道を確保し、気道を開いたままにさせておく治療法です。
慣れるまで数か月かかることもありますが、マスクが合わない場合は様々なタイプのものがありますのでマスク業者さんと相談しながらベストフィットするものを選んでいきます。
また圧が気になるという患者様も最初は弱い設定からはじめて徐々に自動で圧をあげていく設定なども使用できます。また機械の大きさもコンパクトサイズであり持ち運びもしやすい大きさになっております。

マウスピース

マウスピースをはめて治療する方法があります。下あごを上あごよりも前に突き出すように固定をすることで気道を広く保つことができ、それにより無呼吸を防止します。
軽症の睡眠時無呼吸症候群には一定数効果が期待できますが重症では効果が見込めない可能性が高いため重症のかたにはおすすめをしません。
作成をする場合には対応をしてくださる歯科をご紹介いたします。

外科治療

耳鼻科にて扁桃摘出やアデノイド摘出、また施設によってはレーザーによるのどちんこやその周辺部位切除することによる気道の開通を行っているところもあります。

当院での検査と治療の流れについて

診察をさせていだき、まずは簡易検査(パルスリープ)を行います。
パルスリープ検査は当院より貸し出しいたします。 
検査結果により無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)を確認します。
AHIとは1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数の合計をいいます。
無呼吸とは呼吸が10秒以上止まっている状態のことで低呼吸とは換気量が50%以下になる浅い呼吸のことを言います。
AHIが5以上で睡眠時無呼吸症候群の診断となります。

AHI 5未満 → 正常
AHI 5-15未満 → 軽症
AHI 15-30未満 → 中等症
AHI 30以上 → 重症

に分類されます。
日本では簡易検査にてAHI40以上のみでCPAP治療の保険適応となります。

  1. 簡易検査にてAHI 40以上
    → CPAP治療
  2. 簡易検査にて5以上40未満
    → 精密検査(ポリソムノグラフィー)を入院で施行
    → AHI 20以上であればCPAP治療
    → AHI 5以上20未満であればマウスピース及び体位治療
    → AHI 20以上で気道を閉塞する物理的な問題があるときは扁桃腺摘出などの外科治療

*体位治療とは仰向けで眠ることにより気道が閉塞することが多いかたに横向きで寝るための抱き枕の使用や背中にテニスボールを張り付けて仰向けで寝られないようにする工夫のことを言います。 

*当院の睡眠時無呼吸症候群に対する心構えとしてはCPAP治療の適応がある患者様には合併症の予防目的に積極的にCPAP治療をおすすめいたします。
外科治療で改善する場合もありますが手術は合併症のリスクも少なからずつきまとうため第一選択とは考えずCPAP治療+生活習慣の改善、減量を並行して行うことが最重要と考えております。 
睡眠時無呼吸症候群の治療をきっかけに健康に意識を向け生活習慣の改善につながればこれ以上のことはありません。総合内科専門医として生活習慣病の対応も行わせていただきます。
当院としてできることを精一杯サポートさせていただきます。

TOPへTOPへ