肺結核

結核は現代の病気です

結核は現代の病気です北野たけしさんのこのポスターを見覚えのあるかたはいるのではないでしょうか? 結核を昔の病気、と思っているかたは多いと思いますが、そうではありません。
2020年に新たに結核患者として登録されたかたは12739人とされており、まだまだ患者数は多く、そのうちの20%程度は診断や発見が遅れてしまっている状況です。
結核は結核菌によって起こり人から人へと感染する種類の病気です。
総合病院の呼吸器内科の外来をやっていても年に数人は結核と診断するかたがおります。

肺結核の症状

肺結核の症状初期は無症状のこともありますが、長引く咳、微熱がつづく、だるいなど、なんとなく身体の調子が悪いといった症状のかたが多いです。
結核と言えばこの症状!のようなものはありません。
初期に急激に症状が進行することはなく、徐々に症状が悪化していく非常にゆっくり経過する感染症です。
発見が遅れてしまう理由はこれらが原因です。患者様も早めの受診をおすすめしますが、医療者側も常に結核も考慮しながら患者様の診療にあたるよう指導を受けております。

肺結核の原因

空気感染により人から人へうつりそのまま発症する場合と、過去に感染し自分の免疫で抑え込んでいたものが加齢や免疫低下により再度盛り返してきて、発症するパターンがあります。
過去に結核に感染をして体力で封じ込めていたのが年齢とともに免疫力が落ち、その結果、 結核を発症しているケースも多々あります。 

肺結核の診断

長引く咳の患者さんをみたら結核も念頭に胸部レントゲン検査を施行します。胸部CT検査で詳しく検査をして、結核に特徴的な影(肺の中にパラパラとした粒状の影)を見つける場合もあります。
結核を疑ったら痰の検査を複数回施行し、痰が出ない患者さんの場合は、胃の中にやわらかいチューブを挿入し、胃液を採取して痰の検査の代わりにすることもできます。
総合病院に紹介し、気管支カメラで直接肺の中から痰を採取して診断することもあります。
TSPOT検査という血液検査は過去に結核にかかったこと(もしくは現在結核にかかっている)を証明できる検査になりますが、免疫をみるという意味では免疫がそもそも弱い患者様にとっては正確性に欠ける場合もあります。やはり菌の直接の証明が大事になります。

肺結核の治療

肺結核の治療昔は2~3年の期間で治療をしていた時代もありますが、通常の結核であれば現代では6か月の治療で終了できます。内服薬での治療が基本です。
標準治療ではイスコチン、リファンピシン、エタンブトール、ピラジナミドという4剤の内服薬をまず使うことが多いです。
治療の副作用で標準的な治療が行えない場合や、薬剤に耐性をもった結核菌である場合などでは、治療期間が2年以上になるケースもあります。 

早めに治療ができれば
後遺症なし!

私の経験上、発症して間もない結核患者さんの場合は、上記の内服治療で後遺症もなく治癒ができますが、もし結核が進行し肺の中に感染が広がり空洞をつくったりしてしまった場合は、治療後も空洞が残り後々の後遺症が残ります。
長引く咳を1年以上放置した結果、原因が結核であり診断したときには大部分の肺が溶けてやられてしまっていたという症例も経験いたしました。
「長引く咳、なんとなくだるい、微熱がある」といった患者さんには、結核も疑い胸部レントゲン検査をおすすめします。何事も早期発見・早期治療が大事です。是非当院へご相談ください。CTでの即日検査も施行いたします。

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